こんにちは。yuzu(@yuzu_happysmile)です。
2020年の東京五輪開催による経済効果は建設投資や訪日需要など鑑みて約30兆円と試算されています。
実際にオリンピック開催決定後、インフラの整備や多言語化対応など着々と準備は進んでおり、それに伴い投資も進んでいます。
生涯の中でオリンピックを自国開催する経験は一生に一度しかない経験であるため、楽しみでならないオリンピックですが、世界でも稀にみる少子高齢化社会である日本は無理をして投資を進めることで、東京五輪後には不景気が訪れるのではないかと予想もされています。
2019年10月には増税もされ、家計にとってはどんどん厳しくなっていく中で、オリンピック後の経済について読み解いていきたいと思います。
Contents
オリンピック後の世界経済
各国の五輪前後の経済成長率
東京五輪後の経済について読み解くにあたり、まずはこれまでの各国のオリンピック後の経済について見ていきたいと思います。
下の図は過去の夏のオリンピック開催国においてオリンピック開催前後3年間の実質GDPの推移を表したものです。


グラフに赤く丸をつけた国々はオリンピック後に実質GDPが前年度よりもマイナスとなっている国々で7カ国中4カ国(バルセロナ、シドニー、アテネ、北京)があたります。
また、バルセロナ五輪においては、翌年に実質GDPがマイナスになるほど低迷したことがわかります。
各国の五輪における経済影響
各国の状況について五輪が原因であったのか簡単に見ていきたいと思います。
1992年のバルセロナ五輪(スペイン)においては、1992年に英国ポンドの暴落をきっかけにヨーロッパ通貨危機が発生し、主要国が通貨下落防止のために一斉に金融引き締めに転じ、ヨーロッパにおいて景気の低迷が起きました。
ポンド危機(ポンドきき、英: pound crisis)
1992年9月16日(水曜日)にイギリスの通貨であるポンドの為替レートが急落し、翌日に英国が欧州為替相場メカニズム(ERM)を離脱した一連の出来事である。ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)、もしくは逆にホワイト・ウェンズデー(白い水曜日)とも呼ばれる
引用:Wikipedia ポンド危機
2000年のシドニー五輪(オーストラリア)においては、2001年のインターネットバブルの崩壊が原因となり、世界的な不況に伴って前年度よりも景気が低迷しました。
インターネット・バブル(英: Internet Bubble)
1990年代前期から2000年代初期にかけて、アメリカ合衆国の市場を中心に起った、インターネット関連企業の実需投資や株式投資の異常な高潮である。ITバブルとも呼ばれるが、英語では「dot-com bubble(ドットコム・バブル)」と言う。
「ドットコム会社」と呼ばれる多くのIT関連ベンチャーが設立され、1999年から2000年までの足掛け2年間に亘って株価が異常に上昇したが、2001年にはバブルは弾けた。
引用:Wikipedia インターネット・バブル
2008年の北京五輪(中国)においては、2009年にリーマンショックが起きており、世界的な経済危機にまで発生した経緯があるため、直接五輪の影響とは読み解きにくい。
リーマンショックにおける日本経済への影響に関しては、こちらの記事をご覧ください。
2004年のアテネ五輪(ギリシャ)の場合は、バルセロナ、スペイン、北京とは異なる見解がある。
アテネ五輪のケースを見ると実質GDPが5.1%から0.6%まで減少していますが、これは五輪のためにインフラの整備を行ったことが原因で、五輪後にインフラ投資が落ち着き、景気の後退につながりました。
日本のケースを鑑みた際、前回の1964年東京五輪の際には東海道新幹線などの整備が急ピッチで進めた経緯があり、経済不況を招きましたが、今回は前回ほどのインフラ整備はしていないこともあり、アテネ五輪のようなインフラ投資による経済不況は考えにくい状況です。
日本経済の現状
国内の経済市況
2019年10月1日ついに、消費税増税がされ8%から10%となりました。
世界的にみても高齢化が進む日本にとって、医療や介護などの社会保障費が膨らみ続けることや教育無償化の促進のため、今後より財源の確保が必要となることを背景に増税の判断がされたと思われます。
ちなみに消費税が5%から8%に上がったのは2014年4月で当時は駆け込み需要で様々な商品が売れましたが、今回は駆け込み需要は大変弱かったように思われます。
これは、軽減税率の影響も多少はあるとは思いますが、そもそも駆け込み需要が起こすほどの財力が現在の日本に残されていないのではないかと不安をより一層煽るものとなっています。
もちろん本当にお金が全くないというよりは将来不安が大きくなり、目の前の消費は控え将来に備えて消費を控える方が増えられているのだと思います。
実感として、物価は少しずつ上がっていくのに対して、給料は全く増えず、むしろ税金が増えることで手取り収入は減少している状況だと思います。
消費税増税による日本経済への影響について気になる方はこちらをご覧ください。
消費税は増税され、少子高齢化も世界に稀に見るスピードで進んでいる中でも日経平均は20,000円以上で推移しています。
下のグラフは日経平均の1年分と5年分の抜粋となります。


5年のグラフを見るとわかりやすいですが、ここ1、2年は20,000円以上の高い値で推移をしている状況です。
2009年にリーマンショックで7,100円台をつけ、2012年までは低空飛行を続けていましたが、2013年以降右肩上がりに株価は伸びている状況です。
「なぜ、このような状況で株価が伸びているのか」
これは、日銀がETFの購入をすることで金融緩和を図っているためです。
政府は東京五輪までは絶対に不景気にならないように見た目上の景気をよく見せるために介入を続けているものだと思われます。
東京五輪以降は無理な金融緩和は行わない方向になる可能性が高く、雲行きは怪しくなっていくのではないかと思われます。
不動産市況
マンション価格の推移ですが、特に都市部においては、2011年の東日本大震災以降、下落していましたが、2013年以降右肩上がりで価格が上昇してきています。
下の図は日本不動産研究所が出している「直近10年の不動産価格指数の推移」です。

2000年1月の価格を100とした場合の推移を表しており、近年価格は右肩上がりで伸びていることがグラフからも見て取れると思います。
このままオリンピック以降も右肩上がりで伸びていくかというとどちらかというと市場ではネガティブに捉えている方が多くおられます。
理由をいくつかあげると
- 東京五輪後に政治不安による地価の下落や不況が起こる
- 現在価格向上はオリンピック需要による建設における人的リソース不足による高止まりと考えられる
などが予測されており、オリンピック後に政治不安が起こらなければこのまま価値が伸びていくことも考えられます。
東京五輪後の経済について
予測される経済状況
2020年の東京五輪においては、オリンピックの影響によって不景気になる可能性はかなり低いものだと考えられます。
ただし、対外的な要素における景気後退可能性は否定できません。
- 米国の景気減速
- 米中の貿易摩擦の激化
米国においては、トランプ政権になり減税政策による財政支出の拡大による景気拡大が続いています。
ただ、財政支出による拡大は持続するものではなく、財政支出が減少し、設備投資が減速すれば米国市場が低迷し、日本経済へも大きな影響を受ける可能性があります。
また、米中の貿易摩擦も激化をしています。
米国は知的財産権侵害の問題是正を要求するなど、本問題は長期化しそうな気配が漂っています。
米中摩擦が当面続くことで、市場への悪影響をきたす可能性を含んでいます。
さらに米国は日本に対しても貿易赤字是正に向けて自動車輸入の関税引き上げ可能性が潜んでおり、日本経済への直接的な影響も考えられる。
これらの外的要因や日銀の金融緩和など東京五輪後に不景気になる可能性は高いものと考えられる。
景気の指標として見るもの
気になるのは「いつ不景気になるのか」ということだと思います。
特に様々な投資をされている方は気になるポイントではないでしょうか。
日頃世界の経済状況を追うことは難しいあなたに、1つ指標をご紹介します。
その指標は「10年国債の長期金利」です。

長期金利とは、償還期間の長い債券や満期までの期間が長い金融資産や負債の金利のことです
こちらは、10年国債の金利推移です。

こちらを見てわかるように、2009年頃に1.0%以上であった金利は、2019年現在はマイナス金利となっています。
政府は金利目標を2.0%としていますが、日本経済の復興の兆しが見えないことから、日銀の超低金利政策は長期化しています。
この金利において大きな変化が生じる際(主に大きく上がる際)は、国として考えが顕著に反映されますので、確認する指標の一つとしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
オリンピック後の日本経済については、絶対にこうなるという断言は難しいですが、マイナスな要素は大変多く、いつ不景気になってもおかしくありません。
投資をされている方は特にいつのタイミングから不景気になるか気になる点だと思いますが、日本政府の考えとして「10年国債の長期金利」を経済指標として確認するのが簡単な確認方法の一つだと思います。
常に状況を把握しながら、経済状況を読み解きましょう。